生中1杯での呼気中のアルコール濃度
「一杯だけだから大丈夫」
なんて言葉、昔はよくあったように思います。実際のところ、どうなんでしょう。数字で見てみましょう。
アルコール濃度の計算式
どれだけ飲んだらどれだけのアルコールが検知されるのか。人によるところはありますが、サントリーが公開している計算式によると
アルコールの血中濃度=飲酒量(ml)×アルコール度数(%)/{833×自分の体重}
だそうです。
そして、血中濃度を5倍したものが、呼気中の濃度になるそうです。つまり、
呼気中のアルコール濃度=[飲酒量(ml)×アルコール度数(%)/{833×自分の体重}]×5
ということです。
生中1杯でどれぐらいになるのか
ちょっと計算してみましょう。
筆者は体重が68kg。生中のビールの量は、お店によりますが大体300ml。ビールのアルコール度数は5%として、生中を一杯飲んだとします。
300×5÷(833×68)×5
=1500÷56644×5
=0.1324
酒気帯びの基準値である0.15mg/lにはギリギリ達していません。
が、もし良心的な居酒屋で、生中が350mlだったとすると
350×5÷(833×68)×5
=1750÷56644×5
=0.1544
はい、アウトです。
もし、ビールの量は300mlのままで、体重が5kg減っていたとしたら(希望)
300×5÷(833×63)×5
=1750÷52479×5
=0.1429
おお、セーフです。
しかし、さらに5kgやせてしまうと
300×5÷(833×58)×5
=1750÷48314×5
=0.1552
なかなか微妙です。計算上、体重によっては、生中一杯でもアウトということになります。
なお、これはあくまで基準値の話であって、法令上は「ちょっとでも飲酒したらアウト」ですのであしからず。
時間の経過でどれぐらい醒める?
アルコールは時間が経てば醒めていきます。この醒めるまでの時間も気になるところです。
「ちょっと寝たから大丈夫」「一眠りしたから大丈夫」はどこまで大丈夫なんでしょうか。どれぐらいで完全セーフとなるのでしょう。ちょっと見てみましょう。
アルコールの処理時間
アルコールは主に肝臓で分解されます。肝臓は、アルコールの分解過程で生じる有害なアセトアルデヒドを酸化させることによって、無害な酢酸に変えて体内に排出させています。大事な器官です。
この分解の速度、いわゆる処理速度ですが、以下の計算式で求められます。
アルコールの処理時間(時間)
=飲酒量(ml)×0.8×アルコール度数(%)×0.01÷{体質係数×体重(kg)}
体質係数なるものが出てきましたが、これは俗に言う「酒の強い弱い」に絡んできます。酒が強いからといってアルコールの分解速度が速いとも限らないのですが、人によって差があります。その数値は、普通の人が0.11、強い人は0.15、弱い人は0.1、となっています。
体重が68kgの場合
例えば、酒の強さが普通の人(係数=0.11)で、体重が筆者と同じ68kgとすると、生中一杯(アルコール5%、300ml)にかかる処理時間は、
300×0.8×5×0.01÷(0.11×68)=1.604
1時間半ちょっとかかります。結構時間がかかるんですね。
生中を2杯飲んだ場合は、
1.604×2=3.208
3時間ちょっと。単純に2倍の時間がかかる計算です。
もし、5杯飲んでしまった場合は、
1.604×5=8.02
8時間してやっとアルコールが消えます。
これはあくまで体重が68kgの場合なので、体重が軽い人だともっと時間がかかる計算です。
体重が50kgの場合
体重が50kgだとしたら、生中一杯で
300×0.8×5×0.01÷(0.11×50)=2.18
体重によってかなり差が出ますね。
実際の分解速度は人によるので、あくまで参考までに。