身体障害者の方が運転する際に貼り付けるマーク。
障害者マーク、四葉マーク、クローバーマークとも呼ばれますが、正式には身体障害者標識といいます。
このマークを見ると、障害者の方が運転しているんだな、ということがわかります。と同時に、このマークを付けていると障害者用の駐車スペースに止めてもいいんだな、というイメージがあります。しかしこれ、実は間違いなんです。
障害者マークを貼らないといけないのは、どんな人?
このマークは道路交通法に定められていて、肢体不自由であることが免許条件になっている方が運転する際に標示するマークとされています。
但し、このマークの標示は努力規定であって、義務ではありません。もし、肢体不自由の方がこのマークを貼らずに運転していても、罰則はありません。
なので、交通違反で捕まることもありません。「貼ってなくてもダメじゃないですが、できれば貼ってくださいね」ということです。
障害者マークは、全ての障害者が対象というわけではない
障害者マークは、一見すると障害者全てが対象という風に思ってしまいます。しかし、実はそうではありません。あくまで「肢体不自由」の障害を持った運転者のみが対象です。
つまり、障害を持っている人であっても、内部疾患障害や聴覚・視覚障害者は、このマークの対象外なんです。
例えば、心臓に病気を抱えていて障害者手帳を持っている人は、内部疾患で障害者となるんですが、障害者マークを貼らなくていい、ということになります。
「身体障害者=障害者マークを貼らないといけない」ではないので、注意が必要です。
障害者マークを貼るメリット
高齢者マークは、ただ運転者が高齢であることを示すためだけのものではありません。実は、法令上、貼ることによるメリットがあります。
障害者マークの車は、初心者同様に保護される
障害者マークの車に幅寄せしたり急に割り込んだりすると「初心運転者等保護義務違反」となり、捕まります。
違反内容 | 違反点数 | 反則金 |
初心運転者等保護義務違反 | 1点 | 大型車 7,000円 普通車 6,000円 二輪車 6,000円 原付 5、000円 |
この違反は、あくまで「障害者マークを貼るべき人が運転していること」が前提です。
障害者でもない人が障害者マークを貼り付けて運転していた場合は、この違反にはなりません。あくまで、運転している人が障害者だった場合に限ります。
障害者マークは、運転するために重要な、体を動かす機能の一部に何かしらの障害を抱えている人が運転しているのですから、急な割り込みや幅寄せが危険であることは言うまでもありません。もちろん、マークが貼ってない車に対しても、それは危険ですけどね。(^^;
障害者マークの貼り方
マークの貼り方にも決まりがあります。
貼る位置
車の前後に、地上からの高さが40~120cmの間。これより高かったり低かったりすると、ダメなんですが、罰則規定がないので、高すぎたり低すぎたりしても、何かしらの罰を受けることはありません。
ただ、急な幅寄せ等をしてきた車に対し、初心運転者等保護義務違反を問う場合は、上記の範囲内に障害者マークを標示しておかないと、違反を問えない可能性が出てきます。
あと、障害者マークは前と後ろの両方に。初心者マークや高齢者マークと一緒ですね。
マグネット型、吸盤型、それぞれの貼るときの注意点
障害者マークは、主にマグネット型と吸盤型が市販されています。マグネット型を見かけるケースが多いのですが、どちらでも効果は同じです。
マークを貼る際の注意点については、初心者マークのページにて解説していますので、参照ください。
障害者に関するその他のマーク
聴覚障害者マーク
聴覚障害者には、専用のマークが用意されています。
耳と蝶がモチーフのマークで、正式には聴覚障害者標識といいます。
聴覚障害のあることが免許条件になっている人は、このマークを貼らないといけません。
四つ葉の障害者マークの標示は努力規定ですが、この聴覚障害者マークは義務です。貼らないと交通違反で捕まります。この点は、初心者マークと同様です。
聴覚障害者標識表示義務違反の点数と反則金
違反内容 | 違反点数 | 反則金 |
聴覚障害者標識表示義務違反 | 1点 | 4,000円 |
聴覚障害者マークの違反の罰則は、点数が1点、反則金は4,000円です。点数・反則金は、初心者マークを貼らなかった場合の違反と同じです。
障害者や高齢者が対象のマークは、貼らなくても罰則が無いというイメージがあるんですが、聴覚障害者マークだけは、対象となっている人は貼る義務があります。
車椅子マーク
障害者マークと似たような役割のマークとしてよく知られているマークに、車椅子マークがあります。
障害者マークと同じような使われ方をしているのをよく見かけます。
しかし、実はこのマーク、道路交通法とは全く関係の無いマークなんです。「車に貼らないといけない」というような規定は全くありません。貼らなかった場合の罰則もないですし、法律上は貼るメリットもありません。
四つ葉の障害者マークであれば、その車に幅寄せしたり急に割り込んだりすると「初心運転者等保護義務違反」となるんですが、車椅子マークの場合は、貼ってあっても「初心運転者等保護義務違反」の適用にはなりません。
車椅子マークの意味
車椅子マークの図柄は、国際リハビリテーション学会が定めたもので、障害者が容易に使用できる施設や建物であることを明確に示すためのマークです。
よく、障害者向けの駐車スペースに車椅子マークが使用されているのは、「障害者が使用できる施設ですよ~」という意味合いで使われています。
なので、厳密には障害者が使える施設や建物に貼るマークなんです。障害者が乗っている車に貼るマークではないんです。
もし、車に貼ってあった場合は、「障害者乗ってますよ~」じゃなくて、「障害者が使いやすい施設(車)ですよ~」というマークになります。車椅子用のリフトを搭載している車に貼る、というのが適切な使用方法と言えます。
でも実際には、あんまり気にせずに使われてますし、100均でも障害者マークと車椅子マークが並んで売られてたりします。細かいことは気にせずに、「障害者が乗っている車」という風に捉えたらいいと思います。
色んな種類があるけれど、貼ることは大事な意思表示
障害者マークは、法律どおりに適切に使うことも大事ではありますが、そもそも「貼る」ということがもっと重要です。
貼ってあるのが障害者マークではなく車椅子マークであったとしても、それが貼ってある車を見れば、「あぁ、障害者が乗っているんだな」という想像がつきます。そのため、車間距離を空けようとか、その車に対して気を遣うようになるものです。
たとえ、法律上は適切な使い方でなかったり、法的な効果がない使い方であったとしても、障害者マークを貼るということは、他車に対する意思表示となるので、心理的には貼る効果はあると言えるでしょう。
初心者マークを見れば「あぁ、初心者か」と思うのと同じように、障害者マークや車椅子マークを見れば「あぁ、障害者か」となりますからね。貼ることは大事です。
そして、できれば、四つ葉の障害者マークを貼るようにしましょう。