「今、スピードを何キロ出している?」
これはスピードメーターを見れば分かります。40キロと表示されていれば40キロだし、100キロと表示されていたら100キロ。
当たり前と言えば当たり前なんですが・・・。
でもこの数字、絶対じゃありません。スピードメーターの数字には「誤差」があるんです。
誤差ってあるの?
スピードメーターで40キロと表示されていても、実際に出ているスピードが40キロとは限りません。もっと早いかもしれないし、もっと遅いかもしれません。
もちろん、運転に影響するほど大きくずれることは滅多にありませんが(だとしたら車検に通りません)、一般的には、スピードメーターに表示されている速度の数%低い値が、実際の速度とされています。
つまり、メーターの数字は、実際のスピードよりちょっとだけ速いんです。
例えば、これ。
右側の数字(63キロ)は、車のメーターの数字です。左手前の数字(60キロ)は、レーダー探知機のGPS測位による数値です。
その差、3キロ。同じスピードで走っていても、これだけ誤差が出ます。
GPS測位で弾き出されるスピードの数字は表示にタイムラグがあるんですが、直線道路をしばらく同じ速度で走り続けていれば、その誤差は小さくなり、実測値に近くなります。
もし、このときにネズミ捕りで測定されたら、車のメーターに表示されている63キロではなく、60キロで測定されるはずです。
誤差の原因その1 そもそも実測値ではない
スピードーメーターの数字は、実際に走っている速さを測定して、速度を表示させているわけではありません。タイヤの回転数から計算して出される、あくまで計算上の数字です。
なので、雪道や砂場など、グリップが弱いところタイヤが空回りすると、メーターが一瞬、ひゅっと上がります。これを見たことがある人は多いのではないでしょうか。タイヤが空転しても、メーターは「車が進んでいる」として計算するので、メーター上はスピードが出ていることになります。(ただ、これはスピード違反で捕まるような話ではないので、特に問題にはなりませんが・・・。)
誤差の原因その2 そもそもプラスの誤差を設定してある
ほとんどの車で、スピードメーターの数字は、最初から実際の速度より数%プラス側に出るようになっています。
車種によりその開きはまちまちですが、どの車も、どのメーカーも、最初から誤差を設定しています。新車の状態で100キロで走っていても、実際には95キロとか97キロとか、それくらいになるようになっています。
ここは筆者の推測ですが、メーターの数字が60キロなのに、もし取締りで65キロと測定されてスピード違反で捕まったとしたら、「メーターは60キロだった、おかしい」と反論する人が多くなるはずです。
でも、警察は「65キロだった」と測定結果を示すはずです。
となると、「車がおかしい」という流れになり、メーカーが何らかの責任を追及されてしまう可能性があります。それを防ぐため、正確な数字を表示させるより、僅かだけ表示される速度を高めにしているのでは、と思われます。
誤差の原因その3 タイヤサイズ
タイヤのサイズにより、誤差が出る場合があります。
タイヤは、様々な大きさのものがあります。標準のタイヤからアルミホイールに付け替えたり、インチアップしたりして、純正のタイヤサイズと異なるタイヤを付けることもあります。
その車の適合範囲内のサイズであったとしても、タイヤの外径(外周)は、タイヤのサイズ(インチや扁平率の違い)によって、実は微妙に変わります。
例えば、「195/65R15」というサイズのタイヤがあります。この数字の読み方は、「タイヤの横幅が195、扁平率が65、ラジアルタイヤのR、15インチ」です。このタイヤは、外径634mmです。
これをインチアップして、16インチのホイールを履かせようとすると、「225/50R16」というサイズが外径の一番近いサイズになります。このタイヤは、外径が631mmです。外径が3mm小さいんです。
「え、誤差あるの?同じサイズのやつは無いの?」と思われるかもしれません。
でも、全く同じ外径のタイヤというのは、実はなかなか無いんです。インチアップまたはインチダウンすると、必ずと言っていいほど、どちらかに数%の誤差が生じるんです。
外径に誤差が生じるということは、必然的にスピードメーターにも誤差が生じることになります。
この場合だと、外径が634mmから631mmになるので、約0.4%のマイナスの誤差が出ます。メーター上は40キロで走っていたのが、実際には39.8キロになります。
予期せぬスピード違反で捕まらないためにも、タイヤサイズを変えるときは、この辺の誤差も注意しておきたいところです。
誤差があっても車検は通るの?
「メーターが不正確だと、車検って通らないんじゃないの?」
そうです、車検にはメーターの基準というか、許容誤差が定められています。
平成19年1月1日以降に製作された自動車の場合、許容誤差は以下の式で求められます。
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第148条(速度計等)
10(V1-6)/11 ≦ V2 ≦ (100/94)V1
V1は、自動車に備える速度計の指示速度(単位 km/h)
V2は、速度計試験機を用いて計測した速度(単位 km/h)
ちょっと小難しい感じですが、要するに実際の速度の90%~106%ぐらいの範囲内に収まっていればOKということです。
スピードメーターが40キロの場合、実際の速度は「30.9キロから42.55キロまで」が許容誤差としてセーフな範囲です。結構広いですね。(^^;
平成18年12月31日以前に製造された車の場合は、これよりも少し緩くなって「30.9キロから44.4キロまで」となります。
このように、メーターの許容誤差は、数字が下の方に広く取られている(=メーターの表示速度より実際の速度が遅い分には誤差の範囲が広い)ので、実際に出ているスピードよりもメーターの方が高めに表示されることが多いようです。
尤も、実際の速度の方が早かったら、それはそれで危険ですし、ネズミ捕りに捕まってしまう可能性も高くなってしまいます。メーター上は実際のスピードよりちょっと大きめに出る方が、色々と安全ですね。